2002年5月、にわかには信じられない程のニュースがフランスでのファンサイトを運営するJean-Olivier氏からメールで寄せられました。
"Last week the 12th of may, Henri Salvador sung on TV "Avec le temps". After this song, there were an interview. During this interview, he said that he will makes a world tour : Canada, New-York and... Japan ! I don't know yet if it is true, but I really told it. Do you heard about it in Japan ?"
それは、5月12日にフランスの番組"Vivement Dimanche"に出演した折、「日本を含むワールド・ツアーに出かける準備がある」ことをアンリ自身がほのめかしたという内容であり、嬉しい驚きの反面、彼の高齢や、日本での知名度などを考えれば、半信半疑にならざるを得ない内容でした。勿論その時点では、日程や公演場所などはわかるすべもなく、掲示板にその情報を載せるにしても、「〜らしい」という甚だ曖昧な言葉でくくるしかなかったのです。

ややあって、「噂」が本当である事が、亀井繁男氏からの投稿で明らかになりました。そして、大野修平氏からはより具体的な情報が寄せられ、いよいよ来日公演にむけて、私自身も準備をしなければ!と、動き始めました。
大野氏に教えていただいた電話番号から、招聘・主催元であるカンバセーション様に連絡をとり、掲示板やメールで来日公演の詳細を伝えてきました。
皆さんが一丸となって、アンリの公演にむけて動き始めている。そんな空気があふれ、期待感はどんどん上昇していきました。私自身も亀井氏にチケットを確保していただき、心は9月28日の渋谷に飛んでいました。
しかし、やはり北海道と東京の距離を、情熱は埋める事が出来ませんでした。その日私は、いつもと変わらず釧路にいました。
ただ、多くの皆さんが、三日間にわたって私にメールなどでコンサートの状況を教えて下さいました。私は家にいながらにして、コンサートの空気にひたることができたのです。それはまるで奇跡のような体験でした。まるで「魔法の粉」が降り注いだように、同じ空気に触れる事が出来たのです。

このページでは、皆さんから寄せられた感想をもとに、素晴らしかった三日間を追体験していただきたく制作しました。

このページをご覧いただいて、またあらためてあの日を思い出される方もいらっしゃるかと思います。どうぞお気軽にメールでお知らせください。あなたの感動も、みなさんで共有しましょう。

高橋一弘

特別寄稿:「アンリ」/田中 朗
アンリ サルバド―ルと云えば大方のフランス人は、その場で笑い出します。そして彼のファンであると言えば、「気が合いそうだ。一緒に飲もうか」 と 誘われることもあるでしょう。
然し「アダモのファンだ」 とか「P カ―スが良いと思う」などと言っても、あまり仲間は殖えないと思います。
つまりアンリはそれだけ「別格」なのです。決して悪ふざけでない、センスのある「笑いの王様」であるからです。同時にまた何とも心優しいソフトな声で子供達の為のメルヘン溢れる歌や、美しいバラ―ドや、一転してスイングもボサノバも何でも自家薬篭中のものにしてしまう天才です。

今年八十五歳の彼は、もう何年も前から引退して南仏で、のんびり気ままに暮らしながら、商売のことなど全く頭に無く、自分の好きな曲を入れたCDを作ったのが、爆発的に売れてしまい、それが「きっかけ」になってカムバックをさせられてしまったのだとやら。・・

そのサルバド―ルの公演が九月の終わりに三日間、渋谷でありました。

席数三、四百の中ホ―ルでしたが、尻上がりに客席は埋まりました。一度聴いた人が「もう一度どうしても」と帰って来たからです。
実は私もその一人で二日目に行って、三日目にも、じっとしていられなくて、また行ってしまったのです。

「至芸」とは、将にあのことで、何とも豊かな、満ち足りた気持になってしまうのです。
決して気張らない、自然そのものの「しなやかさ」を舞台いっぱいに漂わせながら、アンリは上品な寛ぎを与えてくれるのです。あのような絶品を味わった後では、ありふれた「一流品」では酔うことが出来なくなります。その辺の区別がつかない人は、「特選品」と「特価品」の差異が判らない人でしょう。
つまり、「ようなもの」とは、似て非なるもの、エセものなのですから。

アンリは決して派手な仕草などで大向うの「ウケ」などを求めません。そんなものは、彼の長いキャリアと、奥行きの深い芸が必要としないのです。
芸の内容の希薄なものに限って、大袈裟なポ―ズをとったり、思わせぶりな嘘の所作に溺れるものです。テレビなどで俄かに人気が出てきたりした連中は皆この種の共通点があります。それが、どんなに安っぽくて俗悪極まりないかも反省せずに。

悪ふざけが絶対に喜劇の本質でないのはチャプリンやキ―トンの作品を観れば判るように、アンリの芸は観客が転げ回って笑っても本人はケロリとしていて、それが更に大きな笑いを誘うのです。
ジン(GIN) のCMで飲みすぎて正体が判らなくなってしまう男の真似は絶品ですが、観ている方はアンリが本当に酔っ払ってしまったのかと思うほどです。
同じ事を日本の軽薄なタレントどもがやったらどうでしょう?雲泥の差などと言っても まだ足りないかもしれません。

ただ上っ面だけの芸と、じっと対象を見据えた芸とでは天地の開きです。

それはまた 子守唄を唄っても同じで、アンリの歌声の向こうにお母さんの顔が見えてくるのは、他の誰にも出来ない技なのではないでしょうか?
「親指をくわえながら、半分 『うとうと』して聴いた幼いころの歌・・」とアンリが唄うと、彼が幼児に見えて来るようでもあります・・・。
ビング クロスビ―の「アイルランドの子守唄」、ヘレン メリルの「五つ木の子守唄」と並んでの名唱ではないかと。・・・
こんなソフトな歌声で皆を幼い頃に連れて行って、また一転 ボサノバのリズムでカリブの海辺に連れ戻す。
聴衆は彼の意のままに様々な世界に旅をするのです。
それは何より彼自身が、その歌の詩の一語一語から旅に出ているからでしょう。

歌い手は同時に詩人でなければ
誰もその心に入っては来ないのではないかと私は思うのです。

アンリは詩人なのです。

たなか あきら:歌手
40年以上に渡って、ピアノの弾き語りでシャンソンを歌い続け、現在も美しい日本語とフランス語で、「歌」という織物を織り上げている。50年代からアンリの歌を愛し、ご自身のレパートリーとしても歌っていらっしゃいます。1998年に自主制作により発表されたアルバム「風のささやき」(FIRST CIRCLE MUSIC /FC-1002 問い合せ:03-3304-8090)では、ホール・レコーディングならではの磨きあげられたピアノの響きと、心の琴線にふれる美しい歌で、聴き手を魅了します。

現在のレギュラーでのお仕事は、西荻窪「奇聞屋」でのライブ。毎月第一金曜日、その美しいピアノ弾き語りに触れる事が出来ます。

(田中さんには、このペ−ジの為に特別に玉稿を賜りました。心より感謝いたします。ー高橋一弘

日本公演の主催者である「カンバセーション&カンパニー」の田村直子さんから、アンリの来日にまつわるエピソードをいただきました。

田村直子さんはアンリの担当として、来日の企画から公演まで奔走されました。

今回このペ−ジを制作するにあたり、「ぜひとも、来日公演が実現するまでのいきさつを…」という、こちらからの要請に快くお応えくださいました。

私達が心待ちにしていた、アンリの素晴らしい日本公演が実現するには、こうした方々がたえず奔走されていたおかげだということを皆さんにお伝えしたく、別ペ−ジで組ませていただきました。
じっくりとご覧ください。

田村さん、お忙しい中での執筆、まことにありがとうございました。
ー高橋一弘



27/sept/02
1.CORCOVADO
2.IL FAIT DIMANCHE
3.MADEMOISELLE
4.COUNT BASIE
5.LES AMANDES
6.JE SUIS QUE TU SAIS
7.QUAND JE MONTE CHEZ TOI
8.NOUS N'IRONS PLUS AU BOIS
9.VOYAGE DANS LE TEMPS
10.UN TOUR DE MANEGE
11.QUOI QUE L'ON FASSE
12.LA MURAILLE DE CHINE
13.LE GIN (Sketch)
14.SYRACUSE
15.LE LOUP,LA BICHE ET LE CHEVALIER
16.JARDIN D'HIVER
17.AVEC LE TEMPS
18.BONSOIR AMIS
28/sept/02
1.CORCOVADO
2.IL FAIT DIMANCHE
3.MADEMOISELLE
4.COUNT BASIE
5.LES AMANDES
初日に会場で配付されたソング・リスト 6.JE SUIS QUE TU SAIS
7.QUAND JE MONTE CHEZ TOI
曲目について補足 8.NOUS N'IRONS PLUS AU BOIS
基本的に曲のラインナップは、ヨーロッパでのステ−ジ同様の曲目であるようです。
日付け毎の曲目をご覧いただければ気付かれると思いますが、一日一曲ずつ追加になっています。「イパネマの娘」はスキャットで歌われたもの。きちんとした形での追加曲は三日目の「J'ai vu」のようです。
曲目中「les Amandes」とあるのは、正しくは「Il n'ya plus d'amandes」でジョルジュ・ムスタキの曲。初出は「Bonjour sourire」という1956年のEPに収録された曲で、CD化はされていませんが、2001年からのステージでは弾き語りでしばしば歌っているようです。
また、「NOUS N'IRONS PLUS AU BOIS」は、「もう森へは行かない」というタイトルで、日本でも歌われている方がいらっしゃいます。この曲は1982年のアルバム「愛の国シラキューズ」(RVC)に収められ、日本でもリリ−スされましたが、こちらも現在CD化はされておりません。
「VOYAGE DANS LE TEMPS」は過去の楽曲リストを調べましたが不明です。もしかしたら新曲かも知れません。ご存知の方からの情報をお待ちします。
9.GAROTA DE IPANEMA
10.VOYAGE DANS LE TEMPS
11.UN TOUR DE MANEGE
12.QUOI QUE L'ON FASSE
13.LA MURAILLE DE CHINE
14.LE GIN (Sketch)
15.SYRACUSE
16.LE LOUP,LA BICHE ET LE CHEVALIER
17.JARDIN D'HIVER
18.AVEC LE TEMPS
19.BONSOIR AMIS
29/sept/02
1.CORCOVADO
2.IL FAIT DIMANCHE
3.J'AI VU
4.MADEMOISELLE
5.COUNT BASIE
6.LES AMANDES
7.JE SUIS QUE TU SAIS
8.QUAND JE MONTE CHEZ TOI
9.NOUS N'IRONS PLUS AU BOIS
10.GAROTA DE IPANEMA
11.VOYAGE DANS LE TEMPS
12.UN TOUR DE MANEGE
13.QUOI QUE L'ON FASSE
14.LA MURAILLE DE CHINE
15.LE GIN (Sketch)
16.SYRACUSE
17.LE LOUP,LA BICHE ET LE CHEVALIER
18.JARDIN D'HIVER
19.AVEC LE TEMPS
20.BONSOIR AMIS


Bernard"Bernie"Arcadio:Keyboards,Director
ディーディー・ブリッジウォーター、パトリック・ブリュエル、ジャック・デュトロン、などフランス内外の有名ミュージシャンとのセッションも多数。日本人では来生たかおや下田逸朗のアルバムでアレンジなどを担当。下田の「PARIS 湯玉 HAWAII」ではヴォーカルも担当した。アンリとは1985年のアルバム「Henri」(EMI/PATHE)からの付き合い。
Lydia Martinico:Keyboards
2001年のオランピアでもベルナルドとともにキーボードを担当。
アンリ以外のセッションとしては、トゥーツ・シールマンスの1998年のアルバム"Chez Toots (Private Music 01005-82160-2)"でバックコーラスを担当している。
アンリとベルナルド:"Chambre avec vue"のセッションから。
Dominique Clavic:Guitar
"Chambre Avec Vue"から、アンリのセッションに参加。そのボサ・ノーヴァ・タッチのギターは確実に現在のサルヴァドール・ミュージックの屋台骨ともいえるが、もともとはジャズギタリスト。しかし、その音楽的指向はジャズにとどまらず、漫画家のロバート・クラムら、仲間たちと作った「レ・プリミティフ・デュ・フュチュール」ではフォーク〜ブルース〜ミュゼット〜マヌーシュ・スウィング〜ジャグバンドといった多様なスタイルの音楽を演奏する。演奏同様、多様なスタイルの古いレコードのコレクターでもあり、クラムとは中古レコ屋でのライバルだったらしい(笑)その「レ・プリミティフ・デュ・フュチュール」の"World Musette"はこちら
Therry Chauvet:Drums
Michel Peyratour:Bass
アンリとドミニク:"Jazz Magazine"(仏)の表紙から
Andre Villeger:Tenor Sax
アンリ以外のレギュラー・バンドでは自身のクインテットのほか、Claude Bolling(pf)のオーケストラでサックス全般を担当。そのほかレイ・チャールズ、ディーディー・ブリッジウォーター、カーメン・マクレエ、ウィントン・マーサリスなどと共演するなど、フランス内外の多数のジャズミュージシャンとのセッションをこなし続けている売れっ子ミュージシャン。その他、サッシャ・ディステルの "Collegiens"(レイ・ヴァンチュラへのトリビュート・オーケストラ)にベルナルド・アルカディオとともに参加
アンリとのセッションは、2001年ライブ活動を再開したころから続いている。エリック・ルラーン(tp-今回は不参加)とともに、ステ−ジにおけるホーンセクションのフロントマンとしての重責を担っており、安定したプレイには定評がある。
アンドレ・ヴィレジャー









公演直後から、掲示板「Faut Rigoler!」に寄せられた書き込みをご紹介いたします。
一部、内容を要約して掲載させていただきました。
また、スペシャル・リポートとして「はおめい」さんと「naowad」さんからのレポートを、それぞれ別ページを設け全文を掲載しています。こちらも是非お読みください。

また、亀井繁男氏のサイト「亀さんのシャンソン丸かじり」でも、極めて詳細なコンサート・レポートが掲載されております。そちらもお読みいただければコンサートの全貌がより把握できると思います。

…HN はおめい
行って参りました!終演一時間たってもまだ夢見心地です。もっと伝えたい事があるのに興奮していて書けない…以上、速報でした
…HN SILUVI
同じく、まだ興奮状態です。なんか、言葉にならないんです。嬉しすぎて
…HN ひごっこ
日本のフアンをこんなに心から楽しませてくれたミュージシャンがいたでしょうか?
私は特に「performance!」後半に収録の大好きな曲をズラリと揃えて歌ってくれたことに大満足です。
…HN kilroy's lounge
最終日観に行きました!いやー、想像以上に凄かったです、SALVADOR。
肩パット多めの白いスーツに身を包み、赤ワインを片手に颯爽と登場。本当に85歳かと疑いたくなるようなその美声と歌心に、ライヴ開始早々思わず涙が溢れてきました。
その後も一瞬たりとも飽きさせない展開(Ginの寸劇最高!)であっという間の1時間半でした。楽曲&アレンジも素晴らしく、彼の人生の重み、深みを感じさせる本当に素敵なライヴだったと思います。
…HN 小町 祥一朗
今月の「RELAX」でフェスティバルを知り、二日前に思い出し、急いで取ったチケットは、一生の思い出になりました。
もう一度家であのレコードを聞くと、目の前に今日のことが浮かぶようになりました。 時間が経つごとに、胸の内側からサルヴァドールの撒いた魔法の粉が広がります。今日から僕の中にまた一つすばらしいものが増えました。
…HN コーシュカ
もうもう最高でした。コンサートの存在を知ったのが、3日前。もちろん新潟から上京しました。17年もムッシュ・アンリに対するアツーイ思いがありましたので…
流石に大人の完成されたエンターティナーで大満足でした。素晴らしかったです。85歳とは思えないほどの軽快で伸びのある、優しい声。まさに”魔法の粉”をふり掛けられたみたいに魅了されました。


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